2008年4月16日水曜日

エロマンガのカオリ。

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さて、バヌアツ共和国エロマンガ島に到着。


宿の主M(仮名)は翌朝帰ってきました。
村の名士の老人。
テレホンカード売りと宿の経営が生業。

Mは村の将来を案じていて、
日本人の観光客が沢山来て欲しいので、
楽しんでいって欲しいとの事。
で、インターネットでエロマンガの宣伝をして欲しいとのこと。

illi _| ̄|○ illi

どうして客に頼むのかね、それ。



アクティビティを何か用意するか聞かれたので、
どんなのが有るか聞いてみた。
Kauri(カオリ)ツリーと、洞窟と、くらいなものらしい。

そもそもカオリツリーがどんなものか解らないけど、
珍しい木らしく、エロマンガにしか無い珍しい種類らしい。 本当?
でも、行ってみる事にしました。暇だしw


雇ったガイドは二人。
昼食と水を持ってくれる青年と、英語の達者なおばさん。

英語の達者なおばさんは、これから通過する地域の地主の娘でも有るし、
インテリで海外旅行を数度しているブルジョワジー。
私の北アイルランド訛りの英語でも話しやすいこのおばさんに、
エロマンガ島のことや歴史を色々聞きました。

お互い英語のネイティブスピーカーでもないし、
メモしつつ話を聞いたわけではないので、
正確なアレじゃないかもしれませんが、ご留意を。



片手で荷物を持ち、片手に大きなナイフを持ち、ブッシュを切り開く青年。
島の反対側のIpotaまで、健全な男子なら6時間で行き着けるというこの道。
十数年前、某国の会社が木材を運び出す為に作った道。
現在は木材も無くなり、会社も引き上げ、道も荒れ、
代わりに植えていった松が育ち始めているけど、
もう、森はスポイルされてしまったとの事。

この場合、スポイルってどう訳したらいいのかな。

エロマンガ島には毒の有る昆虫や蛇や怖い獣もいないけど、
そのかわり何も無い。
荒れた土地が有るだけ。
搾取されるだけされた跡が残っているだけ。

土は赤い。
見慣れないくらい赤い。
よく考えないと、どこの星にいるか解らなくなるほど、赤黒い。
ところどころ白い土があって、
昔、現地の人が「私達の肌が赤黒いのは土のせいだ」とか考えて、
白い土を食べた事もあったそうです。

「私は食べなかったけどね」って、おばさんが笑っていましたが・・・



もっと昔、もっと昔。
エロマンガ島は上質な白檀の自生する豊かな島でした。
「部族の争いで負けた人」を食べるのではなく、
食べたいので人を飼育して食べる、なんていう独自な文化があったり (^_^;)

食人なんていうと今の日本では「えー!」って思うかもしれないけど、
そういう文化だったんだし、文化に優劣なんて無いから、
それはそれ。誰も文句は言えない。


ですが、島には人もいて、資源もあって、そこに来る人々もいる。

西洋から宣教師や商人がやってくるようになりました。
宣教師は西洋の価値観と伝染病を持ってきました。
商人は略奪まがいに白檀を伐採していきました。
オーストラリア開拓のための奴隷狩りで健康な人々は連れ去られ、
伝染病で人々が亡くなっても「過去の食人の報い」とされ、
最盛期には一万人はいた島の人口は5%以下まで減少したそうです。
40人の教室で生き残れるの2人以下。
バトルロワイアル並みの生存率。
それが現実のエロマンガ島の歴史。

残った人々では文化の伝承もへったくれもなく。
観光資源も無い、独自の文化も無い、
ただ貧しいだけの島が出来上がったのです。

ただ、荒れた土地と、海辺に小さな村が幾つか。



Wikiのこの辺とかも参考にしてみてください。
2002年にエロマンガ島に訪れた人のサイトによると、
2002年当時の人口が1500人だったらしいです。
Mが言うには、現在は人口7000人位になっていると言う事ですが、
そのほとんどが子供だと言っていました。
2002年以降に産まれた子供達なんだろうね、そういう事は。
確かに村を歩くと小さな子供ばかり。

「この島の人たちは怠け者だから働かないのよ」と、
おばさんは言うけれど・・・

子供達を養う経済的余裕は無さそう。
どうするんだろ。

ボランティアが建てていった学校は有る。
その辺に果物は生えているので飢える事は無さそう。
ただ、それだけ。
一日中、村の中を散歩している。

貴重な観光資源で珍しいらしいカオリツリーも、
往復で5時間も歩いていったのに、
伐採されたり記念に名前を彫られたりで散々。
なにがどう珍しいか、私には解らないので、
大きい木だなぁっていうのが感想。
成人男性が11人いれば手を繋いで囲めるくらいの大きさだそうです。



Mが作ってくれたサンドイッチで昼食。
暑いし道は険しいし、疲れた。
果物アレルギーなんですって言うの忘れたなぁって思いながら、
ペットボトルに入っているレモネードを飲んだのですが、
レモネードに見えたそれは、実はレモネードじゃなくて腐った雨水でした。

これ以降、二週間以上、私は下痢に悩まされる事になります。

カオリツリーの内側は樹脂になっていて、蝋燭に使えるらしいです。



Mは子供達に「ツーリズムとホスピタリティを教えて、観光客を呼ぶ」と言っていました。
何度も何度もMはその事を私に話します。
私はただの客なのに。


この愛らしい人々、目の当たりにすると心配になるのに、
でも私にはなにも出来ない・・・


エロマンガ事情を知れば知るほど、
凹み気味な感じです。
そして、
その後ますます凹んでいく事になります。

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